競売物件は確かに安いけど・・・
買い替えの時に、競売物件で探す際に絶対にしてはいけないことが4つかあります。
自宅を近くで買い換えようと思っているんだけど、競売物件 があったので興味を持っているんです。
確かに、競売物件は近隣の物件と比べると安いのは魅力です。
でも、ほとんどの場合、法律的なトラブルも含めて全部の責任を自分で負うことになるので、不動産取引の知識が必要ですよ。
競売で不動産を入手すると確かに安いです。また、不動産業者でなくてもできます。
ただ、リスクと不動産の実務をよく知っている、というハードルを越えることがまず大事です。
不動産の競売とはどんなシステム?
競売のシステムとは、借金を返済する義務がある人(債務者)がその義務を果たすことができなかった場合、支払いを受ける権利がある人(債権者)が裁判所に申し立てをして、裁判所が不動産を差し押さえてお金に変えることです。
差押えた物件を、オークションにかけるイメージですね。
競売物件はどうして出てくるかというと、マイホームを購入する際には、たいていの場合、住宅ローンを組んで購入することが多いです。
この住宅ローンを支払うことができなくなると、最悪の場合には物件を差し押さえられて、競売によって売却されてしまいます。
その売却したお金の中から、金融機関などの債権者が優先的に弁済を受けることになるんです。
ここ数年、業者じゃなくて一般の人が競売で物件を取得するケースも増えてきました。
競売では裁判所が売主になって、入札という仕組みで買主が決定されます。
入札は、入札に参加して高い値段をつけた人が不動産を取得できる、という仕組みなんです。
以前は不動産業者しか競売物件を落札しなかった
平成に入ってからも不動産業者のような、不動産の売買実務に詳しい人が競売の入札に参加して、安い価格で不動産を取得して転売することが多かったものです。
ところが、最近では一般の方の参入も増えてきています。
ただ、競売で不動産を入手することは、かなりのリスクがあるので、よほど不動産の実務に精通している方でないと難しいかもしれません。
目安の知識としては、不動産競売物件の情報サイトで、物件明細書・現況調査報告書・評価書をダウンロードしてみると、物件の詳細が書かれています。
ここに書かれている内容が理解できて、現地のトラブルにも対応できるようなら、競売で不動産を入手することを検討してもいいかもしれません。
競売物件の購入はトラブルも自己責任
競売物件で一番懸念されるのは、法的なトラブルも含めて全て自己責任ということです。競売物件は仲介業者を通さないので、何かトラブルが起こっても自己責任で対応しなければなりません。
よくあるのは、占有者が居座っていて、所有者が出ていかない、といったケースです。この占有者というのはコワモテのお兄さんたちだったりするのです。
こういった場合、立ち退き交渉などは素人さんでは対応はできないです。
競売物件を探す際に絶対にしてはいけないこと
競売物件で買い換える自宅を探す際に絶対にしてはいけないことがあるんですね。
- 安易な依存はしないこと
- 予算を超えた物件に目移りしない
- 探す段階でハズレ物件に落ち込まない
- 探した競売物件は複数の人に見てもらうくらい慎重になる
してはいけないことに我慢ならない人は、競売物件でマンション探しはしないほうが懸命かもしれません。
1 安易な依存はしないこと
自分一人で、競売物件を選ぶのが難しい。
競売代行業者がいるのだから、彼らにやってもえばいい、多少手数料がかかるのは仕方がない、こんな発想を持っているならまず捨てることです。
多少の手数料といっても業者は買受価格の4パーセント程度を要求してきます。
3000万円の物件なら120万円です。
他にも、追い出し手数料など様々な名目で追加されることがあります。
そうなると、せっかくの安い物件も通常の不動産とたいして変わらなくなります。
これでは、わざわざ苦労してけ安い競売物件を探すメリットはなくなってしまいます。
2 予算を超えた物件に目移りしない
探していくうちに、より良い物件に目移りするのもNGです。
最初から決めた予算、決めた場所にすることです。
もう少し高くてもなんとかなるだろう、と予算金額を探している途中でアップしたりすると今度は自分が競売の対象になってしまいます。
競売で買った家がまた競売にかかるというのは、笑い話でも冗談でもなく、よくあるケースなのです。
当たり前ですけど、競売物件は突然生まれてくるわけではないですね。
一生懸命住宅ローンを払っていたけれど、ついに力尽きた人の所有物だったのです。
だから、自分がそうならないとも限りません。
だからこそ安い物件を探すので、それは十分に支払っていける余裕を持った金額でなければなりません。
いくら安いからといって、もう少しぐらいとか、普通に買えば高いのだから、といった甘さはまず捨てましょう。
これがあるととんでもない落とし穴に陥ることになります。
3 探す段階でハズレ物件に落ち込まない
自分のぴったりの競売物件はそう簡単に見つかるものではありません。
ハズレたり失敗したりして学んでいく面の方が多いものです。
その失敗が金銭的なものになると困るので、時間や体力ならば甘受すべきです。むしろ、探すことを楽しむくらいの余裕が必要です。
ということは、時間に追われるような探し方はアウトです。
そういう人は競売物件でなく一般物件を選びましょう。
競売物件は慌てて見つかるものではないし、短期間で自分にぴったりのものが見つかるものでもありません。
ある程度の時間的余裕、そして、精神的なゆとりが必要です。
このゆとりがない人は、探す段階で嫌気がさしてしまうので、競売物件に手を出してはいけないのです。
競売物件は、探す段階で失敗するのは悪いことではありません。
失敗は早いほどいいし、探すというのは第一段階なので、そこで失敗すれば、痛手も少ないのです。
4 探した競売物件は複数の人に見てもらうくらい慎重になる
競売物件で探したら、自分の家族、友人、知人などなるべく多くの人に見てもらったほうがいいですね。
自分だけだと、気に入った物件をつい甘く見てしまいがちです。
冷静な他人の目を通すことで、粗も見えてくるものです。
意見は多ければ多いほどいいです。
また、探すときにはできるだけ似たような物件を多めに見つけるようにしましょう。それらを比較することも大切な要素になります。
競売物件は安いだけではなく、複雑な事情も背後に控えています。
それだけに情報は多ければ多いほどいいし、その整理は慎重すぎるくらいでちょうどいいのです。
焦らずに慌てずに、かつ貪欲に
これが競売物件の探し方です。
競売物件のメリットと注意点
では、なんでこんな小難しい競売物件を一般の方も狙うのかといえば、安いから、という理由に他なりません。
一番のメリットは、やはり 市場価格より安く物件が手に入る ということだからです。
そもそも、差し押さえられて競売になると、市場価格より安く売却されるのはわかりきっています。
なので、債務者はまずは市場価格に近い値段で売却する方法(任意売却)を検討するはずです。
では、競売になる前に、なぜ任意売却をしなかったのか考えてみるとわかるかもしれません。
任意競売をするには、債権者である金融機関などの承認が必要になるんです。金融機関は売却することによって優先的に返済してもらえるようなら承認します。
でも、他に債務の連帯保証人がついている場合や、優先して弁済が受けられない場合などは承認を得るのが難しくなってきます。
また、物件自体に問題がある場合、例えば再建築不可能の物件や、既存不適格物件などは高く売却できる可能性が低いので任意売却は難しくなります。
ということは、任意売却にならなかった物件が競売不動産として出てくるケースがあるので、一般の人が取得するには少しハードルが高いんです。
競売物件で一番のデメリットは「占有者」
そもそも、「占有者」とは競売で買った建物に入居している人のことです。
占有者ってそこに住んでいる人のことですよね。
意味はあってますが、実際には競売で落札された人でなく、違う人がいる場合が「占有屋」と呼ばれる人たちのことです。
いわゆる怖い人たち、ですね。
実際の「占有屋」と呼ばれる人たちは、「退去するから金を出せ」とお高い立退料を請求してくる人たちのことです。
その占有屋というと強面で威したりすかしたりして立ち退き料をせしめる人、とよく言われます。
もちろん、そういう人もいます。
しかし、彼らも、競売妨害で逮捕者が増えている現在の状況から、より頭脳的になった方法で対抗してきています。
引っ越し命令への執行抗告は、その代表手口だったのですが、法律改正によって、意味がなくなってしまいました。
偽の賃貸契約書を作ってごねたりすれば、全て競売入札妨害罪に該当します。
もちろん、通常、立ち退き料よりも多い金額を提示すれば、さっさと占有を解除するのも占有屋の方法で、金で済ませたい人には理屈の通らない素人占有者より扱いやすかったりもします。
しかし、わざと品物を残していって処分させて保証金を要求する手口も使います。
悪質な占有屋に引っかかるとつらいことになります。
内装代金請求がある
悪質な占有屋の方法の一つが、内装代金請求 です。
これは、まず、競売執行以前に賃貸借契約を所有者(債務者)と正式に結びます。
もちろん、この契約は買受人には対抗力がないので、継続する必要はありません。
そうではなく、新しく内装工事や造作物を作りつけるのです。
もちろん契約書にも許可が記されているんですね。
普通の賃貸借契約の場合ならば、貸主が承諾した新たな造作を退去時に買い取らせることが可能です。
それを逆手にとるわけです。
つまり、正式な賃貸借契約のもとで、自分が内装を行い、新たな造作をしたのだから、新しい所有者に買い取ってもらいたい、と持ちかけるのです。
もちろん支払った領収書なども持っています。その値段はかなりいい加減です。
せっかく買った競売物件を、早く入居したいと思う買受人の中には、「仕方がない」として支払ってしまう人も多いです。
プロの占有屋にごねられたのでは厄介だ、という意識もあるのでしょう。
だったら、強制執行で対応したほうがいい、とは言い切れないのが難しいところです。
相手のいいなりで支払う必要はないのですが、破壊行為を行われては困るからです。
結局は、相手は少しでも立ち退き料の上積みを狙っているので、どこまでお金で歩み寄れるという話になるわけです。
プロの占有屋が入っている物件を購入することは、通常ではないと思うのですが、ただの賃貸人なのか、それともプロなのかの判別が難しいこともあります。
プロの占有屋でない居住占有にも種類がある
占有者がいないにこしたことはないのですが、普通は債務者本人が暮らしています。
ならば、債務者ならば占有していてもかまわないのかというと、いくつかの例外があります。
債務者が法人の場合
債務者が個人ではなく 法人 の場合があります。
日本では税務対策上、実態がどうであっても法人成りしているケースは多々あります。
自宅も自社所有にして、それを社長である自分が借りるほうが、税務対策上は、最終的には得をするからです。
これを逆用しているケースが問題になるんですね。
つまり、会社として債務を重ねて、競売申し立てされているのに、社長本人は賃貸者として物件を占有しているのです。
さらには、別会社を設立して部屋を別の事務所に貸している例もあります。
裁判所もその辺は見抜いていて、競売の評価書を見ると「契約による占有を主張しているが、書類等は提出せず」としっかり書いてあります。
ダミーの法人を利用するような占有者は、素人というより、半玄人とも言えます。まともに話し合っても損をするだけです。
住居用マンションにもかかわらず、事務所利用と称して居住占有を続けようとする手口の占有屋も少なくないので、占有者が法人の場合は、競売物件を購入することはパスしたほうがいいです。
差押登記が都税事務所など都道府県関係の物件は、事業者関係なので、個人占有でも要注意です。
競売物件イコール占有のイメージが増えているのは住宅ローン破綻者の物件よりも、こういった事業者破綻物件(投資物件も含む)を占有している人間が悪質だからかもしれません。
離婚などで姓が違う場合
占有者が個人名でも姓の違う複数人になっていたら、これも競売物件として購入するのは避けるべきです。
離婚した夫婦が財産分与で持分の分割登記をした上に、相互に賃貸借契約を結ぶ、というややこしい例もあります。
こうなると、片方を説得してホッとしていても、もう片方が占有を主張してくるのです。
居住占有で裁判所に申告が行われていない物件はそれだけでも背後に厄介な問題が隠れていると判断したほうがいいです。
競売物件での大きなデメリットは、手続きの流れと占有者です。
とはいっても、競売で入札に参加して物件を取得するメリットの安い、という点には魅力があります。
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