遺言状の財産目録は自筆でなくワープロでもOKになる
遺言状って、自分で書くものは、民法上は「自筆証書遺言」ですよね。
他にも、公正証書とかいろいろな特別な遺言があるんですけど、自分で書くなら、この自筆証書遺言のことを指します。
この自筆証書遺言、実は、かなり厳しめの条件が付いていたんですよね。
条件とは、遺言として認められるか、って言うところです。
その一つに
自筆で書かなければならない
というものがあるんです。
でも、財産がたくさんあると、それをいちいち自筆で書くと、人によっては膨大な文字数になりますよね。
今回、民法の相続部分が改正されて、遺言状の一部が自筆でなく、パソコンやワープロで印字されたものがOKになるんです。
さらに、自分で書いた遺言が、法務局に預けられるようにもなるという改正が2019年1月に行われます。
この自筆証書遺言の改正について、詳しく紹介します。
自筆証書遺言が変更するポイント
2018年7月に、国会で相続に関する民法の規定の改正案が成立しました。
2019年1月以降に施行される民法のうち、今まで相続の常識とされていた、遺言状に関する点がだいぶ変わります。
遺言状には大きく分けて2種類あるんですね。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
です。
そのうちの、自筆証書遺言は、全文を自分の手で、自書する必要があるんです。
この点が大きく変わります。
遺言が作りやすくなるパソコンOKのシステム
遺言状を書こうとする人って、日本では財産を持っている人っていうイメージですよね。
その遺言状は、自分で書くとなると、
「自筆」、つまり、自分の手で書かなければならない、っていう決まりがあるんです。
判例では、「ワープロはだめ」っていう決まりになったんですね。
ワープロっていうと、いまどき、”ワープロ”という言葉を知らない人もいるかもしれませんね。
要するに、プリンターでの印字はダメ、ワープロとかパソコンで印字はNGなんですね。
それは、自分の手で書いていないから、意思が入っていないだろう、ということからです。
でも、遺言状を書こうとする人は、財産があるから、自分がいなくなってからも、相続人たちが争いをしないように、決めておくわけです。
そういう人って、それなりに財産があるわけです。
財産がたくさんある人が、いちいち手書きで財産を書けないですよね。
不動産もいっぱい持っていたら、いちいち手書きで書いていられないかもしれませんよね。
株式、預金などもあれば、それなりの「財産目録」が出来上がって、誤字や脱字といったミスも起きやすいです。
自筆証書遺言の「財産目録」はワープロOKになる
その点、その部分の遺言でパソコンやワープロでもOKになれば、コピーして貼り付けることで、遺言も作りやすくなるわけです。

相続財産が多いと、財産目録をすべて間違いなく手書きするというのはかなりの負担ですよね。

土地の登記などは、おおざっぱだと法務局は登記してくれないので、相続登記ができなくなるわけです。
家族の間では『裏山の土地』とか『一丁目の山』で通じても、法務局はそれだけでは登記しません。
物件が特定されていないからなんですね。
実際に登記記録を確認したら、10個くらい土地があった、なんてことはあるわけです。
それを遺言で、手書きで目録で書こうとしても、今までは全部、住所や面積を確認して書く必要があったわけです。
年をとってから、遺言を書くのすら大変なのに、いちいち全部を手書きするなんて、間違える元ですからね。
今回の改正では、自筆証書遺言の作成方式が緩和されることになったんです。
財産目録については自筆ではなく、ワープロやパソコンでの作成が認められる、ということです。
自筆証書遺言の「財産目録」部分がワープロOKになるのは、相続でもめないためにかなりのメリットがあるんですね。
添付書類もOKになる
さらに、銀行の通帳のコピーとか、不動産の登記事項証明書等を遺言状にくっつけて財産目録とすることもできるようになります。
そして、パソコンでも遺言の作成がOKということは、入力作業を家族の誰かに代行してもらうこともできるということです。
できあがった財産目録や通帳コピーなどをはりつけた書類には本人が署名捺印することで、偽造を防止するようになっているんです。
保管も法務局でできる
今まで、自筆証書遺言は、自分で保管するか、誰かに預けておく、という手段しかなかったんですね。
そして、自分がいざ亡くなった時に、家庭裁判所に検認してもらう、という手続きでした。
それが、遺言状を法務局に預けられるようになるんです。
その、保管費用は数百円の印紙代のみになるというもの。
公正証書遺言だと、場合によっては数十万するので、負担が軽減されますよね。
この制度のおかげで、今までのように遺言書が第三者に改ざんされたり、家族が発見できな買ったりして、
遺言の内容がわからなくなる、ということも防げるようになるんですね。
相続に該当する不動産を持っているなら、現在の価値を把握しておくと、遺言を書く際に目安になります。
不動産は分けられないので、価格であらかじめ遺言に書いておくことができるようになります。
今ではネットで1分程度の入力で、一括に査定することができます。
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