不動産相続のポイント|相続人の確定が売却にも大きく影響してくる

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不動産相続のポイント

  • 相続物件の取り扱いでは相続人の確定が最優先
  • 相続物件の売却は、遺産分割協議成立後が原則
  • 遺言書による売却では、遺留分減殺請求に注意

 

相続物件売買は、通常の売買とは違うことが多いです。

 

プロの不動産業者も、不動産取引の中で難易度が高い物件の一つが相続物件の売買です。

 

一生に何度も経験しないであろう相続について、一般の人ならなおさらわからないことだらけですよね。

 

不動産相続の一番大事な点は、相続人を確定することことです。

 

相続物件の場合、権利関係者が多く登場することが、扱いを難しくさせています。

 

相続人の相続財産の取り分など金銭的な問題や、生前の日相続人への関わり方など、感情面の問題が複雑に絡み合っていることもあります。

 

相続人間の話し合いに相当な時間が費やされて、最悪の場合、紛争にまで発展するケースも少なくないです。

 

他人同士で売買する、通常の不動産取引の方がずっとスムーズに取引ができます。

 

遺産分割調停、遺産分割審判を経験すると、二度と相続物件は扱いたくない、と思う不動産業者もいるくらいです。

 

それくらい扱いがむずかしい相続ですが、不動産相続のポイントをわかりやすく紹介していきます。

 

 

 

不動産相続を売却するまでの流れ

登記簿謄本で所有名義人を確認する

 

対象となる不動産が、相続登記が終わっていれば、少雨名義人を売主として売買契約をすることができます。

 

相続登記をしていない場合は、相続人の確定から始めることになります。

 

相続人を確定する

 

離婚や再婚で、家族形態が複雑になっていて、調査するとさらに相続人が増えつづけて、最終的に相続人が数十人にもなってしまう場合もあります。

 

ここで、相続人の調査をきっちりしていないと、「遺産分割協議」をする時になって、新しく相続人が判明してしまう、ということもあり得ます。

 

相続人の一人が、相続人の顔ぶれや各相続人の思っていることを詳しく説明してくれることもあります。

 

でも、そのまま言われたことをそっくり信用すると、さらに、相続人間で遺産分割をめぐってトラブルになることもあるからです。

 

相続人の確定は、公的な書類(戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍など)で確認することは絶対必要です。

 

全ての相続人と話し合う

 

相続人が確定したら、遺産分割協議に入る前に、全ての相続人に手紙などを使って連絡します。

 

相続人の中には、すでになくなっている方もいたり、連絡が取れずに行方不明になっていることもあります。

 

相続人がなくなっている場合は、なくなった相続人の子供達が相続権を引き継ぐ代襲相続という制度があります。

 

相続人が行方不明の場合には、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てることになります。

 

不在者財産管理人は利害関係のある他の相続人が兼任するということはありません。親戚や家族に適任となる人がいない場合は、弁護士や司法書士が選任されることもあります。

 

遺言書、遺産分割協議書の有無を確認する

 

遺言書がなく、遺産分割協議書も整っていない場合には、相続財産の利用(賃貸で貸す)や処分(不動産の売却など)に関しては、相続人全員の同意が必要になります。

 

遺産分割確定前でも、売却条件、売却の方向性が相続人全員の意思が一致していれば、相続人全員を売主としたり、相続人の代表者を選任することも可能です。

 

ただ、契約した後になって、相続人間でトラブルや新たな相続人が出てくると、契約不履行になってしまいます。

 

不動産業者からは、こういった物件を売却することを優先するより、相続人間の協議に時間をかけて、遺産分割を整えるようにアドバイスされます。

 

遺言書がある場合、遺留分は最大のチェック項目

 

遺言書がある場合の一番の注意点は「遺留分」です。

 

日本では、遺言書の内容が個人の意思として最優先されますが、遺言書の内容が「全ての財産を長男に譲る」など、他の相続人の相続権を否定するような極端な内容の場合には、十分に注意が必要なんですね。

 

民放では一定の相続人(配偶者、子供、父母)が最低限の相続できる財産(遺留分)を定めていていて、遺留分は遺言書の内容に関係なく必ず保証される権利です。

 

だから、遺留分を無視して不動産の売買契約を締結してしまうと、後に他の相続人から「遺留分減殺請求」として取り分を主張されてしまうんですね。

 

遺留分は相続財産の2分の1(直系尊属のみが相続人だった場合は、3分の1)になります。

 

後から遺留分減殺請求がされたら、たいていの場合は、契約のやり直しではなく、お金で解決することになりますが、トラブルの危険性が高いのが遺留分です。

 

相続登記の方法を確認する

 

売買契約ご、決済までに必ず必要となるのが、相続登記です。

 

通常は相続登記は、法律的に有効な遺言書や遺産分割協議書で、相続割合が確定してから行います。

 

法定相続分で登記する場合は、遺言書や遺産分割協議書がなくても、相続登記をすることができます。

 

ただ、複数の相続人を法定相続分で共同名義人として登記してしまうと、不動産の売却をするときも、共有名義人全員で行うことになります。

 

だから、不動産の売却があることがわかっているなら、遺産分割協議の時には各相続人の相続割合っとともに、不動産の所有権登記名義人を誰にするのかを取り決めておくことは必要です。

 

相続物件売却時の譲渡所得に注意する

 

宅建業者が相続物件を取り扱う時、税金がどうなるかが遺産分割協議でのキーポイントにもなります。

 

相続税を納めるために相続物件を売却することがあるからなんですね。

 

不動産相続物件を売却したことによって、譲渡益が生じた場合には、所有期間に応じて「譲渡所得にかかる税金」(所録勢、住民税)がかかります

 

相続人の立場としては、「相続税を納めるために相続財産を売却したのに、さらに税金がかかるのか」という気持ちにもなりますよね。

 

相続物件を売却した場合の税金の注意点となるポイント
  • 税率を決める所有期間は、被相続人(亡くなった人)の取得した日から譲渡した年の1月1日時点での期間で計算する
  • 譲渡益を計算するときの「取得費」は、被相続人の取得費を引き継ぐ
  • 被相続人が取得したときの取得費が不明な場合、概算取得費(収入価格×5%)で計算する
  • 売却した不動産にかかる相続税額を、譲渡所得の計算で控除できる。これが「相続税の取得費加算の特例」ですが、相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以降3年を経過する日までに譲渡したものが対象になります。
  • 相続税の申告期限は、相続が派生したことを知った日の翌日から10ヶ月以内。

 

 

不動産相続のポイントは、最初の相続人の確定が一番のポイントになります。


 

 

そこをクリアしてからは、実は相続人間の感情という、法律や税金を超えたところにあるんですね。


 

相続物件の現在の価格を把握しておく

 

相続物件は、相続人の間でこじれてしまうと売却しようと思っても時間が経ってしまいがちです。

 

売却せずに、そのまま住み続けるにしても、他の相続人に「これくらいの価値だから、代わりに金銭で」と話を持ち掛けることになりますよね。

 

そうなると、客観的に現在、いくらくらいの価値があるのかを把握しておくことは必要です。

 

第三者にもわかるように、あらかじめ今、不動産を売却したらいくらくらいになるのかは、ネットで査定ができます。

 

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