実家を相続したくないなら相続放棄ではなく売却する方がベター
実家が、昭和の高度成長期時代に建てた一戸建て、という人も増えてますよね。
そのころの家って、夢のマイホームと言われていて、規格品より少しこだわりのある家が多いものです。
良い意味で言えば個性的で、里山と田畑が広がる静かな町、年季の入った“古民家”ですが、
ぶっちゃけ、使いにくい家。
今のバリアフリーやシステムキッチンなど装備がしっかりしている家より、個性が強すぎて使いづらいんですよね。
そんな実家の家が、親が亡くなって相続する人も多くなっています。
ところが、この夢のマイホームと言われた実家を相続したくない、と思っている相続人もまた多くなっているんです。
そんな実家に今さら田舎に住むなんて、無理。
だったら、
相続放棄すればいいじゃん
少し法律を知っている人なら、そう思うかもしれません。
でも、相続放棄は実家に関しては、メリットはありません。
結局、管理をするのが、相続人になるからです。
実家を相続したくないなら、一番ベストなのは、売却することです。
特に実家が一戸建てで、昭和の時代に建てられた家を、相続したくない、と考えているなら、
相続放棄や共有よりも売却が最も効率的な理由を紹介します。
実家の不動産がお荷物になっている
東京に出てきて20年。
今さら父親が残した地方都市の一戸建てを相続するわけにはいかない。
すぐにに売却できればいいのかもしれないですけど、遠く離れた実家の一戸建てを相続したがらないのは、当然のことかもしれませんね。
被相続人と同居していたり、被相続人の近所に住んでいた相続人がいたりすると、不動産を相続する相続人は、自然と決まることも多いんですね。

実家でも、縁もゆかりも無くなってしまった土地に立つ一戸建てって、相続したくないですよね。

お荷物になる実家という相続物件を相続したがる相続人はほとんどいませんからね。
問題となる典型的なケースとしては、地方から東京に出てきた相続人が、実家の一戸建てをどう相続するか。
どうやって相続しないで済ませるか、という悩みを抱えているんですね。
都市に一極集中した結果として、実家に残っている兄弟姉妹がいなくて、全員が都市部に在住。
ここ数年でよくあるケースです。
その場合、実家の一戸建てを押し付け合っているんですね。。
今の住環境や生活環境を捨てるわけにもいかないので、セカンドハウスとして地方都市の実家一戸建てを管理していく経済的余裕うもない。
となると、実家の一戸建てを相続したくない不動産と化してしまうんですね。
一戸建ては個性が満載で売却も賃貸もできないので相続したくない
一戸建ては全てが自由設計で、こだわる人はとことん計画を立てて、増築する人もいます。
フルオーダーで、施主の個性が出てしまうこともあります。
個性が強ければ強いほど、施主以外の人にとっては受け入れがたいものにもなります。
どちらかといえば、マンションのような万人に受ける規格品の方が、処分可能性という意味では優れているのかもしれません。
売り出したり、貸し出したりする場合に、買主や借主が見つかるまでの期間は、一戸建ての方がマンションに比べて、かなり長くなります。
マンションはあくまでも空間が取引対象になっていて、壁紙などを取り替えれば、前の居住者の痕跡はリセットされた感覚になりやすいものです。

一戸建てって、マンションより前に住んでいた痕跡が残りますよね。

特に、個性ある一戸建てだと、空き家になっていても、リセットされた感じがしませんね。
父親の個性が満載の一戸建ては、不思議と相続人も敬遠する傾向にあります。
プール付き、カラオケルーム付きの大豪邸でも、維持管理の負担を考えると納得できますよね。
親世代にとってのこだわりのポイントは、かならずしも子世代にとってありがたいものではないんです。
自分で使うのにも躊躇するし、売却や貸し出しもしにくい。
使用収益の両方が見込めない不動産であれば、
結果的に実家の一戸建てを相続したくないと思ってしまうもので、不人気になってしまうんですね。
実家を相続したくないなら相続放棄という方法
よく、相続財産がマイナスの場合は、
「相続放棄」をしてしまえばいいじゃん
そう言われることもありますよね。
実家を相続したくないなら、実家を相続放棄すればいい、と思っている人もいるんです。
でも、実家という家に関しては、相続放棄することは、デメリットが多いんです。
実家を相続放棄した場合の3つのデメリットとは
実家を相続放棄をした場合のデメリットは
- 後順位の相続人がいる場合
- 相続放棄しても相続財産を管理する法律規定がある
- 相続財産管理人を選任しても解決しない
順を追ってみてみると、
後順位の相続人がいる場合
相続を放棄すると、他に相続人がいた場合、優先順位で他の相続人が、相続をすることになるんですね。
例えば、4人家族で、父・母・子二人という典型的な家族の場合を考えてみると、
子二人が相続放棄をしたら、母が相続権を全て持つことになります。
もし、子供二人が独立していて相続放棄をしたとしても、実家に残された高齢の母が実家を相続することになります。
高齢の母が、実家を相続して、そのまま住み続けたら,,,,
将来的にあまりいい展開になりそうにないですよね。
後相続放棄しても相続財産を管理する法律規定がある
相続放棄をした相続人の考えとしては、
相続放棄したんだから、自分には何も責任なんかないだろう
という発想だと思うんですね。
でも、相続放棄したら、財産の管理をしなくていい、というわけではないんです。
むしろ逆の規定が民法上にあるんですね。
それが、民法940条1項です。
(相続の放棄をした者による管理)
第940条
1.相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
2.(省略)
相続放棄後の財産を、相続放棄したから放置していいわけじゃないんです。
その管理責任は誰にあるのかと言えば、相続放棄した人なんですね。
相続の放棄をしても、誰かが相続財産の管理を始めることができるまで、財産の管理をしなければいけないことになっているんです。
固定資産税の支払いや建物の維持管理費用は相続放棄してもかかってくる、ということです。
相続財産管理人を選任しても解決しない
ということは、誰も相続放棄した財産を管理しなくなったら、誰が管理するの?
ってことになるんですが、それが、相続財産管理人です。
実家という家の場合は、その相続財産管理人は、たいてい地元の人や、そのあたりの事情を知っている人が多いんですね。
誰もいなければ、家庭裁判所が相続財産管理人を指定することもあります。
でも、その相続財産管理人が選任されたからって、実家を相続したくない悩みが万事解決するのか、と言えばそうなりません。
お金です。
タダで、相続もされない家を管理しようとする人なんて、いませんよね。
現実的には、管理している間は、相続財産管理人に幾らかでもお金を払う必要があるんです。
ということは、相続放棄をしたからといって、実家を相続したくないという願望を消し去ることができないんです。
相続でもらいたくないし売るに売れない実家
たいていは、実家の一戸建ては相続人間でも不人気です。
不人気ゆえの問題もあります。
一戸建てを相続したくない、とすれば、他の財産を相続することで、調整をすることになります。
しかし、住宅ローンを利用して購入した一戸建ての場合、
定年まで負担の大きいローンを払い続けてきたがために、定年した時点では残っている財産は、一戸建てだけ、ということが珍しくないです。
定年後は、年金暮らしで、貯金をする余裕なんかないので、家以外の財産が増えることは考えられないんですね。
結果的に相続財産が実家の一戸建てのみ、ということにもなりかねません。
実家の不動産一軒のみが相続財産の場合は、どうなるのでしょうか。
結局、共有方法の選択?
他に財産がないのだから、誰が相続するのか、どのように評価するなど、分け方でもめることになります。
欲しいという相続人がいないこともあるのですが、売却して現金化して分けるにしても、簡単に売却できないんです。
- 遺産分割して、一人が相続することにすればいい
- お金でわければいい
など、一度は実家を共有すればいいという考え方もあるのですが、
お金が絡んで、なおかつ縁の遠い共有だと、逆にトラブル発生で苦労してしまうことが多いんです。
→実家の家の相続して不動産を共有にすると売却処分が苦労してしまう理由とは
売れないと空き家になってしまう
仮に、実家が相続が開始されて、誰も住んでいなかったとします。
そのまま、ある程度の期間が経ってしまうとどうなるのでしょうか?
そうです、空き家になったままの状態が続くんですね。
家って人が住んでいないと、すぐに傷んでしまうものなんですよね。
空き家になると家がすぐに傷んでしまいます。
空き家になると、すぐに蜘蛛の巣がはったり、カビがいたるところに発生します。
空気も流れないので、ニオイは強烈に臭うようになります。
空き家問題って、全国的に発生していて、ニュースにもなっていますよね。
空き家が崩れ落ちそうなほど腐って、災害が発生すると、怪我をする人が出る、ということで、行政が壊せるようにもなりました。
法律や世間の認識自体がそう変わってきているんですね。
実家を相続したくないから、という理由で、放置し続けて、空き家にしてしまうと、違うトラブルも発生する、ということなんですね。
最終的には実家を売却するのがベストな選択
日本全体の不動産の価格が、上がり続けていった時代は過ぎてしまいました。
もうバブル時代のような時代は来ないでしょう。
不動産は二極化していて、勝ち組と負け組に分かれています。
都心の不動産の価格あ上がることはあるかもしれませんが、
地方都市の不動産の価格は下がります。
高値掴みしてしまった不動産を売却するのは大変です。
査定価格を確認するのも、この不動産がこんな価値であるはずがない、と強引に高く売り出してしまったりします。
でも、買い手は一向に現れなかったり。
待っても待っても、問い合わせは一件もありません。
自分が買った時の値段はこれくらいなのだから、と購入価格の呪縛から逃れることができないんですね。
結局は売り切れないのです。
実家を相続したくないなら相続放棄や共有よりも、最初に売却を検討するのが、最も効率的な理由がここにあります。
そんな相続したくない実家を長いこと所有しそうになるなら、売却を検討した方が効率的です。
地元の不動産屋1件に絞るのではなく、今ではネットで1分程度の入力で、一括に査定することができます。