手付けは何もなければ頭金の一部になる

新しい家を買う時に、「頭金が多い方が住宅ローンが少なくていいよ」って言われたんですが、不動産業者に契約した時に支払ったお金は手付金ですよと言われました。
頭金と手付金って違うんですか?

頭金は、自己資金の中で、物件価格に充当するものですね。
手付金は、その頭金の一部、と考えておけばOKですよ。
不動産を売却したり、購入したりする際に、「○○金」という名で言われても、いまいちピンとこない時がありますよね。
いったいどんなお金なのだろうか、って。
その中でも「手付金」と「頭金」がどういった関係に結びつくのか、わかりにくいです。
最終的に、スムーズに売買できれば「手付金」は「頭金」の一部になるんですね。
頭金と手付金の関係を図にするとこんな感じになります。
そこら辺を、コメントを含めて解説してみました。
手付金とは→売買契約に関係ある
マイホームを買うには、「手付金が必要」だと聞いたことがある人は多いですね。
手付金 とは、売買契約の際に契約の成立を示す証拠金のようなもので、物件価格の一部を先払いするようなものです。
ただ、いくら先払いといっても、手付金の額は不動産会社(宅地建物取引業者)が受け取る場合には、制限があります。
- 売買代金の20%を超える手付金を受け取ってはいけない
- 手付金は解約手付としなければならない。また、手付解除が可能な期限を設定するなど、買主の解除権を制限してはいけない
不動産業者が相手だと、個人の人はまるめこまれてしまいますからね。
制限をすることで、買主が不当に高額な手付金を支払ったり、解除権を制限されることを防いでいるわけです。
手付金がなぜ必要になるかは、マイホームの購入の流れと関係があります。
不動産を購入する場合、ざっくりと大まかには次のような流れになります。
- 売買契約
- 住宅ローン審査
- 決済
この順番で進んでいきます。
この間は、一般的には大体2週間?1ヶ月ほどかかるわけです。
その間に、もっと住みたい物件が見つかって、買主に心変わりされてしまっては、売主は困ってしまいます。
売主の方も売却の準備をしているわけですからね。

なるほど、先手を打っていた買主が裏切らないようにするのが、手付なんですね。

買主の都合を制限する意味合いもあるんです。
ただ、手付金を放棄すれば、買主も自由になれますけどね。
買主の都合で契約を解除する場合には、手付金は解約金の扱いになって、全額が売主に渡すことになります。
マイホームを購入する買主は、ほとんどの人が住宅ローン使います。
この住宅ローンには審査がありますが、売買契約してから審査に落ちてしまった場合も、手付金は売主のものになってしまいうんですね。

住宅ローンがあると、手付けなんか怖くて払えない気持ちになりそうです。

大概の場合は、ローン契約なるものがあるので、それほど気にする必要もないですよ。
この場合、売買契約をする時に「ローン契約」をつけておくことで、住宅ローンの審査に通らなかったという理由で契約できなかった場合には、買主に全額返金される場合がほとんどです。
仮審査をしてから、手付けを支払う流れにしてもいいですね。
手付放棄と倍返し
自宅の売買契約をするにあたって、買主から売主に対して手付が交付されると、その手付は原則として解約手付と考えられることになります。
売主又は買主は、その相手方が「履行に着手」するまでの間ならら、買主はその手付金を放棄して、売主はその倍額を返すことでいつでも契約を解除することができます。
例えば、100万円の手付を買主が支払っている場合、買主はその100万円を放棄(手付放棄)すれば契約を解除できます。
売主の方もは受け取った100万円と同額をプラスした200万円を買主に支払う(手付倍返し)ことによって契約の解除ができます。

売主が手付を放棄するってことがあるんですか?

ありますよ。
個人だったら、「やっぱりもうちょっとここに住もう」って心変わりしたとか、
会社だったら、手付を倍返ししても、もっと儲かりそうなところに売っちゃう時、なんかですね。
一般的に、個人間の取引の場合は、手付解除できる期日を定めるのが一般的なので注意が必要です。
相手の方が「履行の着手」があったときは解除できない
履行の着手とは、「客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし、又は、履行行為の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合」とされています。
つまり、相手方(買主にしたら売主、売主にしたら買主)が何らかのアクションを起こして、履行の着手がある場合は手付放棄による契約の解除ができなくなるということです。
区別するのは、履行の提供のための単なる準備行為です。
この場合では、履行の着手には該当しないと解されています(最高裁判例)。
ところが、一般人からしてみると、いったい何が「履行の着手」に当るか否かは難しいんですね。
おおよそ、売主が所有権移転登記の申請を行ったとき、買主が売買代金と引換えに目的物の引渡しを求めたとき・中間金の支払を したときなどは、「履行の着手」があったと考えられています。
売主も手付けを倍にして返せば自由になれる
逆に売主側もこの手付金によって、例えばもっといい条件で物件を買いたいという買主が別に現れても、手付金を支払った相手との契約を優先することになります。
もし、どうしても違う買主に売りたい、という売主の都合で契約を破棄する場合には、買主は手付金の倍額を支払わなければなりません。
ただ、家を売る際に相手が手付けを払っていると、手付放棄による売買契約の解除が認められますが、履行の着手をしていると放棄ができないんですね。。
これが、手付放棄による売買契約の解除と言われるものなんで。
問題なければ手付は頭金の一部になる
こうした問題がなく、無事に売買契約が成立し、決済まで進んだ場合には、手付金はそのまま購入費用として充当されます。
最終的には、頭金の一部となるわけです。
手付金は諸費用と違って、物件価格の支払いに加えて別途必要なお金ではありません。
頭金とは?→住宅ローンに影響する
では頭金とはなんでしょうか?
頭金 とは、自己資金(=不動産購入に際して自分で用意できる現金)のうち、物件価格に充てられる部分のことです。
頭金=物件価格ー住宅ローンによる借入金
ということですね。
同じ2000万円の物件でも、500万円を頭金にする人もいれば、100万円を頭金にする人もいます。
基本的には、頭金がいくら必要というルールはありません。頭金の額は絶対条件ではないのです。
頭金には、マイホームを購入する際にかかる諸費用は含めません。諸費用とは、不動産登記や住宅ローンを借りるための手続きなどにかかる費用のことです。
もう一度、頭金と手付金の関係を見てみます。
図をみてわかるように、やはり、頭金は少ないより多い方が、住宅ローンを少なくすることができます。
もし、買い替えで新しい物件を探しているなら、今の自宅の価格を高くばいきゃくすることで、住宅ローンの額を減らすことができます。
ネットで依頼すれば、簡単に今の自宅を査定してくれます。
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