不動産投資物件を売るのは難しい

 

不動産投資物件を「売却」するというのは、融資(ローン)で購入している方にとって、買うよりも実は難しいものです。

 

それは、不動産投資物件を売却をするには、融資額を返しきれるだけの金額で売却ができなければ売却損が出てしまうからです。

 

物件を買う情報を収集する場面段階では、誰もがゼロからのスタートです。そこにはマイナスポイントはありません。

 

資産的にマイナスな方は、そもそも不動産投資を行わないので、その段階ではみんな同じスタートラインなのです。

 

しかし、 不動産投資物件を売却 する場合には、みんながゼロのスタートにはならないんです。融資を長期で受けている場合には特に注意が必要です。

 

元利均等返済で借りた当初の5年から10年は、建物価値の下落に融資元本の返済が追いつかなくて、年月を経るごとに簿価と残存融資額の乖離が大きくなってきます。

 

もちろん、積算価格だけで融資を決める金融機関ばっかりではないのですが、売却に関して有利な材料がなくなってしまって、売ろうとしている不動産物件の買主候補の融資に影響することは間違いないのです。

 

売却価格は相場並み?安く?高値にする?

 

相場並みに買えていたとしても、オーバーローン(債務超過状態)になっていたら、売却することだけでも胃が痛むようにキリキリしてしまいます。損が確実になりますからね。

 

さらに、相場よりも安く売るということは、「お金に困って売る」「すぐに現金化したいから売る」など比較的件数は出やすいです。

 

けれども相場よりも高く売るということは、買う側が高値と知っていて買うのか、高値と知らないままで買ってしまう、ということなので、なかなか難易度が高いです。

 

相場より大きく安い物件が出にくいということ以上に、相場以上に売れるということは少ないからです。

 

結果として、相場より高く買うか、相場並みでもローンを組んでしまうと、そのギャップで売却時に損が出てしまうことになります。

 

そんな事情でも、長期保有をして、融資額を大きく返済できていたとすれば、どこかで売却にかかるストレスは軽くなります。極端に言って、実勢の土地値まで融資額が下がってくれれば、その時点で売却損が出ることはまずないです。

 

不動産融資の物件売却の最低ラインとして、自己資金と、融資残額をカバーできる額に設定できないならばその時点で、不動産投資として利益が出ないということです。

 

売却価格は買う人のことを考える

不動産の売却価格は高めに設定する

 

不動産投資した物件の売却価格を決めるにあたっては、相場をよく考えて、自分の物件のスペックを考えて、その中で 少し高値に設定するのが王道 です。

 

例えば、自分の所有する物件のあるエリアでの最近の売却相場が全構造・築年数を平均して利回り8%くらいとしたとします。そこで、耐用年数切れの木造物件を利回り6%で売ろうとしても、「相場より利回りが低いので難しい」ということになってしまいます。

 

物件の希少性や収益状況、手入れの状況などにもよるので、一概には言えないのですが、周りと比較して10%、20%も高い水準で売るには、よほど特徴のある物件でないと厳しいです。

 

よく相続時の対象として買いたい人に売れば高く売れる、という話もありますが、実際にはそううまくはいかないものです。

 

総務省の統計では、60代以上の資産額の平均はおよそ2000万円です。
また、相続税の対象となる資産額は、3000万円+(600万円×相続人の数)です。
平均的な資産額の2000万円に、自宅として30年住んだマンションがあるくらいならば、おそらく課税対象になりません。

 

少し前までは、控除額がもっと多かったので、対象となる人も多くはなかったものでした。その時の日本全国で、およそ4%くらいが相続税の対象となっていました。

 

平成27年以降の控除額現象を考慮したとしても、その割合は6%ほどにしか増えません。

 

高齢者人口31000万人のうちの6%だと186万人が相続税の対象となります。その中でも、不動産を利用した相続対策を行うのが有効な、金融資産が7000万円以上ある方は、ある保険会社の調査では高齢者のうちおよそ30%程度で、結果として、約40万人程度です。

 

その40万人の方々が、数ある不動産の中から、相場よりも高くて魅力的でない高値の物件を買ってくれるはずはないですよね。

 

それくらいの資産がある方は、世間的な地位がある程度あり、より属性の高い物件を好みます。つまり、同じ評価の物件だとしても、買うなら一等地の物件がいい、と考えます。

 

資産性のある立地の物件を購入して、一族に引き継いでいきたいという考え方になっています。

 

地方ならばその地域の一等地、東京だったら名前がある街が選ばれます。富裕層の方に好まれるような物件だったら相場より高くても買うかもしれません。

 

そうでなければ、そうよくように不動産購入を検討している方向けに売りたい、という幻想は捨てたほうがいいです。

 

そういった事情もあるので、不動産投資物件の売却価格を決めるには、高くなりすぎないように一般の買い手のことも考えましょう。

 

買い手が物件を買ってきちんと儲けが出るようにしないと、そもそも売れないのが原則です。売却価格は売主が決めることができますが、好き勝手に決めていては売れません。

 

近隣相場と客観的な不動産価格を算出してから、まずは買主のことを考えましょう。

 

いまではネット上でカンタンに不動産の価値を診断してくれます。

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